花粉症ではないけれど、春先はなんだか調子が悪いなあという方、それは春バテかもしれません。暖かくなったと思ったらまた寒くなったりと、気温の変化も大きく、年度が替わるために異動や卒業・入学など環境の変化も大きい春先は、心身にストレスがかかり自律神経のバランスが乱れやすいからです。
今回のテーマは「春バテ」です。
①春バテの症状と原因
春バテの症状には以下のようなものがあります。
・理由もなく体がだるい
・朝起きるのがつらい
・イライラして落ち着かない
・寝つきが悪く眠りが浅い
・呼吸が浅い気がする
・食欲があまりない
春バテの原因で一番に挙げられるのは「気温差ストレスによる自律神経の乱れ」です。
気温の変化に対応するために働くのが自律神経ですが、気温の変動があまりにも大きいとそれがストレスとなり、自律神経の働きが乱れます。
自律神経は全身の血管や内臓の働きなどをコントロールしているので、自律神経の乱れは体や心の不調につながるのです。
②春バテ解消4つの対策
春バテ解消には「自律神経を整える」ことが大切ですが、自律神経に直接働きかけることはできないのが難しいところです。
自律神経のバランスは主に副交感神経が上下することでとられているので、鈍りがちな副交感神経の働きをよくすることが自律神経を整えるベストな方法です。
このためには「体を温めて血流を改善する」ことが重要で、〈冷え〉〈食事〉〈睡眠〉〈ストレス〉の4つが対策の要となります。
それではひとつずつ見ていくことにしましょう。
〈冷え〉の対策
冷えを根本から改善するポイントは運動で筋肉をつけ、体を温める食材をとり、内側から冷えない体をつくることです。さらに、入浴やカイロ、インナーウェアなどで外側からも温めて代謝をアップさせます。
○“ながら運動”
筋肉は体で熱を産生する最大の器官です。ダイエットや運動不足などで筋肉の量が減ると熱が生み出せなくなり冷えやすくなります。筋肉は加齢によっても減っていくので筋肉をきたえましょう。
歯磨き中などに“ながら”スクワットをするだけでもOKです。
歯磨き中に、脚を肩幅より広く開き、足先を45度に開きます。
ひざ頭も同じ方向に向けます。
背すじを伸ばし、息を吸いながら8秒かけて腰を下ろし、次に息を吐きながら1秒で元に戻します。
(腰を下ろすときひざがつま先より出ないように注意)
○湯船につかる習慣
入浴はお湯と水圧の作用で全身の血行を促す効果が大きいです。
お湯の温度が高いと体を緊張させる交感神経が優位となりよくないので、約38~40度のお湯につかるのがよいです。
○体を温める食材
・根菜・いも類など冬が旬の食材
・牛・豚・羊などの赤身肉・鶏肉
・まぐろ・かつお・うなぎ・さば・ぶり・えび
・ざくろ・栗・くるみ・桃・みかんなど
〈食事〉の対策
○朝食を抜かずにとって、1日の代謝を上げます
○タンパク質は不可欠です
→1日に必要なタンパク質の量を補うには、1食で手のひら1枚分の大きさの肉や魚などを摂るとよいとされています。肉や魚・卵のほか、チーズなどの乳製品や納豆・豆腐などの大豆製品もタンパク質が豊富です。
○極端な食事制限によるダイエットはしないようにしましょう
○赤&黒の食材を積極的に摂りましょう
→東洋医学では赤い色の食材と黒い色の食材は鉄分などの栄養素を多く含み、ホルモンバランスを整えるのによいとされています。
赤:パプリカ・にんじん・トマト・なつめ・ベリー類など
黒:黒ごま・黒豆・ひじき・のり・黒砂糖など
○食物繊維をとって腸内環境を改善しましょう
→腸内環境がよく、腸が活発に動くと副交感神経が優位となり、自律神経が整います。
食物繊維には水に溶けない不溶性のものと水溶性のものがあり、どちらを取り入れてもよいのですが、便秘気味の人は水溶性食物繊維を多く摂りましょう。
〈水溶性食物繊維が多く含まれる食品〉
・海藻類・りんごなどの果物・らっきょう・ごぼう
・オクラ、なめこ、モロヘイヤなどのネバネバ食品
・にんにく・いんげん豆・もち麦・押し麦
○トランス脂肪酸・添加物のとり過ぎに注意しましょう
→トランス脂肪酸はマーガリンなどに多く含まれる植物性油脂から生成される人工的な脂肪酸です。これを摂り過ぎると動脈硬化やアレルギーを引き起こします。加工食品などに含まれる添加物もなるべく避けましょう。
〈睡眠〉の対策
副交感神経を優位にする習慣で“ぐっすり快眠”が実現できます。
寝つきが悪かったり途中で目が覚めてしまうのは、夜になっても交感神経が活性化したままであるためです。
安眠をもたらす副交感神経を高めるためには、寝る前の行動が決め手です。
○夜はカフェイン飲料を避け、飲むならリラックス系のハーブティーにしましょう
→カフェインの覚醒作用は3~6時間続くので、夕方以降はコーヒーや紅茶などのカフェイン飲料は避け、ハーブティーなどのノンカフェインのものを飲みましょう
○6~7.5時間は睡眠時間を確保しましょう
→必要な睡眠には個人差があります。自分がすっきり目覚められる最適な時間を見つけて、その時間は確保しましょう
○寝る90分前に入浴すれば寝つきがスムーズになります
→眠気は体温が下がったときに訪れるので、寝る時間の60~90分前に38~40度のお湯にゆっくり入浴していったん体温を上げると、その後体温が下がり終えるときに眠気が訪れ、スムーズに寝つけます。
○朝日を浴びられる部屋づくりをしましょう
→遮光カーテンを少しだけ開けておくなど、毎朝朝日を浴びられる工夫をして体内時計のリズムを整えましょう
○寝る90分前からはスマホは見ないようにしましょう
→スマホやパソコンから発せられるブルーライトは脳に“朝”という信号を送り覚醒を促してしまいます
○寝る前のストレッチで体をリラックスさせましょう
→首や肩、腰や太ももなどもストレッチでほぐすと疲れが取れやすくなり、睡眠の質を高めます
○部屋着ではなく、必ずパジャマに着替えて寝ましょう
→睡眠中、寝返りを20~30回ほどうつことで血流がよくなり睡眠の質が上がります。ジャージなどのゴワゴワした部屋着のまま寝ると寝返りがうちにくいため睡眠の質が低下します。
〈ストレス〉の対策
○自分なりのストレス解消法を覚えておいて、ため込みを防ぎましょう
○口角を上げて笑うだけで免疫力がアップします
→免疫力が上がれば自律神経も整いやすいです
○呼吸法でイライラ、落ち込みを撃退しましょう
→ゆっくりと深い呼吸には副交感神経を優位にし、リラックスをもたらす効果があります。
イライラしたときは力強く吐き、落ち込んだときは細く長く吐く呼吸法が効果的とされています
Ⓐイライラしたときには、おなかに手を当ててゆっくりと鼻から息を吸い、口からフッ!と力強く吐き出します。4~5回繰り返します。
Ⓑ落ち込んだときには、おなかに手を当てて鼻からゆっくり息を吸ったら、口をへの字に軽く開いて息を細く長く吐いていき、最後までゆっくりと吐ききります。4~5回繰り返します。
○ひとりの時間をつくってリセットしましょう
→ひとりの時間を楽しめる人はうつにもなりにくい傾向があります。定期的にひとりで過ごす時間を持ち、誰にも気兼ねせず自分の好きなことをして心をリセットしましょう。
○自分の好きなことを書き出してみましょう
→実際にやっていなくても書くことで脳が疑似体験し、ストレス解消につながります
○好きな香りをかいでリラックスしましょう
→ラベンダーなどストレスによいとされる香りはいろいろありますが、一番いいのは自分が好きな香りをかぐことです
○手を伸ばして体の緊張をほぐしましょう
→体を伸ばすと筋肉の緊張がゆるみ、脳の緊張もほぐれます。遠いところのものを取るイメージで手を伸ばしましょう。
上・斜め前・横に両腕をグーっと10秒伸ばしましょう
(参考文献:Saita 2018年4月号「春バテ不調に強くなる!」/ 養命酒製造株式会社HP「春バテ要注意!」)
目新しい対策法はないかもしれませんが、春バテに限らず自律神経を整えることは日頃の「元気」につながります。
心身ともに元気に春を満喫していただきたいと思います。
ワークステーション静岡 T