今回は前回の続きで、食事療法について詳しく見ていきます。
⑦食事療法8つの基本
1.食べすぎをやめて食事の量を適正にしましょう
必要エネルギー量を知り食べる量を守るためには、まず自分の標準体重を知りましょう。
標準体重は病気の発生率が男女とももっとも少ないとされるBMI(体格指数)22を使って算出します。
次に〈基礎代謝量×身体活動レベル〉で1日の適正エネルギー量を計算してみましょう。
計算式はこちら→http://www.tounyou.tank.jp/38.html
2.栄養バランスのよい食事をとる
食事量を守ることが意識できたら、次に重要なのが「質」です。
理想の比率は たんぱく質:脂質:炭水化物(糖質+食物繊維)=2:3:5 です。
炭水化物や脂質をとりすぎると血糖値が上昇し血中の脂質が増え、動脈硬化につながります。
3.何をどのくらい食べるか?(1日にとりたい食品)
次の3つのグループの食品を(1)→(2)→(3)の順にとることが健康的にやせる原則です。
(1)筋肉成分
たんぱく質を多く含む食品:肉・魚・大豆製品・卵・乳製品など
・肉は脂身の少ない部位を選んで。
・乳製品はカルシウム源として。
(2)代謝を活発にする成分
ビタミン・ミネラル・食物繊維を多く含む食品:野菜・きのこ・海藻類など
・淡色野菜(キャベツ・玉ねぎ・大根・きゅうりなど)230g以上と緑黄色野菜(ほうれん草・にんじん・トマト・パプリカなど)170g以上をとるのが望ましい。
(3)エネルギー成分
炭水化物を多く含む食品:穀類・いも・豆・砂糖・果物など
脂質を多く含む食品:油脂など
○まず肉や魚などでたんぱく質をとってしっかりした体をつくり、ビタミンやミネラルを野菜や海藻などでとり体に余分なコレステロールが入るのを防ぎ、最後に炭水化物のごはんなどの量でエネルギーを調整するのがベストです。
4.油脂は「質」を見極めて賢くとる
脂肪酸(油の性質を決めるもの)は3つのグループに大別されます。
「飽和脂肪酸」・・・バター・ラード・生クリームなど
LDL-コレステロールや中性脂肪を増やし、動脈硬化を起こす原因になる
「一価不飽和脂肪酸」・・・オリーブ油・キャノーラ油など
LDL-コレステロールだけを減らすので、調理用の油として使うとよい
「多価不飽和脂肪酸」・・・サラダ油・ごま油・あじ・いわし・さんまなど
酸化されやすい欠点がある
○飽和:一価不飽和:多価不飽和=3:4:3でとるのが理想的です。たとえば飽和脂肪酸はコレステロールを増やしますが、不足すると血管がもろくなったり貧血になったりというマイナス面もあります。バランスよく摂取する必要があるのです。
5.魚の油は逃さない!肉は脂肪を落とす!
・メインのおかずは肉より魚を優先しましょう
→青背の魚に含まれるEPAやDHAは血栓をつくりにくくする働きがあります。LDL-コレステロールを増やす肉に比べて消化も良くエネルギーも低いのでおすすめです。
・魚の油は酸化しやすいので新鮮なうちに調理して食べましょう
→刺身やホイル焼き、缶詰も強い味方です。
・牛肉・豚肉はひれ肉やもも肉、鶏肉は胸肉やささみを選びましょう
(鶏胸肉は皮を除いて調理すれば脂質をカットでき、エネルギー量を半分にできます)
・フッ素樹脂加工のフライパンやオーブン・電子レンジを利用すると調理の油をカットできます
6.薄味を心がけておいしく減塩する
血圧が高くなると血管に相当の負担がかかります。
1日にとる食塩は8~10g(高血圧の人は6g)に抑えましょう。
→塩分の高い汁物は1日1回にして、かわりにお茶などを種類多く楽しみましょう
→食塩のかわりに香辛料や香味野菜、酢や天然だしなどを使って塩分を減らしましょう
7.抗酸化力と食物繊維がカギ
野菜・海藻・きのこは毎食とりましょう
→動脈硬化にはコレステロールの酸化が大きくかかわっていますが、野菜には酸化を防ぐ力があります。また血液の流れをよくする働きもあります。
→水溶性食物繊維はコレステロールを吸着して体外へ出し、血糖値の上昇も抑えてくれます。
→海藻・きのこ類は低エネルギーでミネラル・食物繊維が豊富です。意識してたくさんとりましょう。
8.コレステロールの多い食品は適量とる
→食品から取り入れられるコレステロールは2割ほどなのでコレステロールの多い食品を頻繁に食べるのでなければ気にしすぎることはありません。
→卵はコレステロール値は高いですが、良質なたんぱく源として適量をとるのが望ましいといえます。卵に含まれているレシチンは血管壁にコレステロールがこびりつくのを防ぐ働きもあります。
☆番外編:外食を上手にいただく
外食は何をどう選んでどう食べるかがカギです。
丼物やチャーハンなど一皿メニューは糖質・脂質・塩分が多いので主菜・副菜・汁物がそろった定食を選びます。いずれにしても外食をしたら前後の食事量を軽くして、1日のトータルでエネルギー調整するのが鉄則です。
ポイント①和食メニューは塩分に要注意
→刺身定食:刺身は低エネルギー・低脂肪ですが、食物繊維がとりにくく塩分が多くなりがち。副菜に野菜のあるものを選び、漬物は残しましょう。
→焼き魚定食:塩分多めなので漬物を残し、汁物も1/3は残すなど調整しましょう。
ポイント②揚げ物・炒め物メニューは残して調整
→とんかつ定食などは高エネルギーなので2~3枚までにし、ごはんも少なめに。みそ汁は具は全部食べて汁は少し残しましょう。
→中華メニューはできるだけ野菜を多種類使った魚介メインのものを選びましょう。
ポイント③おにぎりやサンドイッチは不足しがちな野菜を追加
→おにぎりは塩分が多いので副菜は即席みそ汁ではなく、サラダを選びましょう。鮭やツナなどたんぱく質が入ったものを選び、サラダやヨーグルトなどを補うとバランスが良いです。
→サンドイッチは案外高エネルギーです。野菜が入っているものを選び、カツサンドならば少し残しましょう。野菜ジュースや牛乳などをプラスするとバランスが良くなります。
ポイント④麺メニューは野菜がたっぷり入ったものを
→ラーメンなら野菜がたくさん入ったタンメンや五目そばなどを選び、塩分が多いので汁は1/3量残して減塩をしましょう。
→うどんよりそばがおすすめです。そばは食物繊維、ビタミン・ミネラルが豊富で抗酸化作用もあり、山菜+卵、とろろ+卵、おろし+納豆などがたんぱく源と野菜が同時にとれてよい組み合わせです。汁は飲まないようにしましょう。
(参考文献:白井厚治他著『コレステロールを下げるおいしいレシピ』/ 寺本民生監修『コレステロール 減らそう悪玉 増やそう善玉』)
コレステロールは必要なものでもあり、一方摂りすぎると大変厄介なものであることがおわかりいただけたと思います。漫然とダイエットに取り組むのではなく、コレステロールのことを理解した上でご自分に必要なことを取り入れて続けていっていただければと思います。
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