骨の健康の第2回目は、具体的に骨に必要な「栄養」と「運動」を見ていきましょう。
⑤骨に必要な栄養素と食材
骨を丈夫にするのはカルシウムだけだと思われがちですが、カルシウムの吸収を高めたり、骨を守る栄養素も大切です。
【カルシウム】
体の中のカルシウムの99%が骨と歯にあり、不足すると血中に溶け出してしまいます。骨を丈夫に保つにはカルシウムが欠乏した状態を作らないように、毎日コンスタントに摂取することです。
目標:1日700mg以上
(例)牛乳コップ1杯(220mg) ししゃも5尾(330mg) 小松菜1株(85mg)
他に チーズ1枚(160mg)、ヨーグルト100g(120mg)、高野豆腐大1枚(130mg)
【ビタミンD】
小腸からのカルシウムの吸収を高め、また吸収されたカルシウムが血液によって骨に運ばれたとき骨への吸着も助けます。
目標:1日10~20㎍
(例)鮭切り身1切れ(26㎍) うなぎ1切れ(19㎍) 干ししいたけ2個(0.8㎍)
他に きくらげ5個(6.4㎍)、まぐろ刺身5切れ(5㎍)
【タンパク質】
骨の土台はコラーゲン(タンパク質)で、その上をカルシウムが塗り固めているような構造です。タンパク質が足りなければカルシウムを摂っても骨の強度は不十分となってしまいます。
目標:1日50~60g
(例)肉(鶏胸肉皮なしなら)100g(24.4g) 魚(あじなら)1尾(13.8g) 卵1個(6.2g)
他に 乳製品(牛乳なら)コップ1杯(6.6g)、大豆製品(木綿豆腐なら)約1/2丁(6.6g)
【ビタミンK】
血液に取り込まれたカルシウムが骨になるのを助ける働きをします。(骨粗しょう症の治療薬としても有効な成分です)
目標:1日250~300㎍
(例) 納豆1パック(300㎍) スプラウト(貝割菜なら)1/4束(200㎍)
他に ブロッコリー1/4株(96㎍)、ほうれん草1/4束(162㎍)、乾燥わかめ小さじ2(33㎍)
☆この他、骨の健康に役立つ成分として最近よく耳にするものを挙げてみます。
・MBP(milk basic protein):牛乳に含まれる成分で、破骨細胞の暴走を抑え骨芽細胞を応援する成分
・イソフラボン:大豆に含まれる成分で、女性ホルモンに似た働きをする成分
・エクオール:イソフラボンを吸収しやすいかたちにしたもので、体内で変換生成できない人もいる
⑥「骨力アップ」と「骨折しない体づくり」
骨力低下の弊害は様々ですが何より生活の質を落とすのが骨折です。一度骨折すると、二度目の骨折を起こしやすく、動けない間にさらに骨力が衰えるという悪循環に陥ってしまいます。
そこで「骨力アップ」の運動と「骨折しない体3要素」をきたえる運動を1つずつ例としてご紹介します。
●骨力アップ運動
[かかと落とし] 骨密度を高める最も簡単かつ効果的な運動です。
体重をかけてストンと落とすかかとへの刺激で
図中①破骨細胞を活性化し、骨代謝が促されます
図中②負荷がかかることで骨が帯電し、カルシウムが沈着、骨の石灰化が進みます
1.足を揃えて立ち、手は自然にたらす
2.かかとを上げてつま先立ちになる
3.足の力を抜き、かかとをストンと地面に落とす(少し響くような衝撃を感じる程度に)
●「骨折しない体づくり」のための運動
a“転ばないバランス力”をきたえる
片足で立つとバランスを保つために足全体の筋肉を使います。
骨折しやすい足の付け根の骨も丈夫になります。
[開眼片足立ち]
1.イスの背やテーブルに手をつき両足を揃えてまっすぐに立つ。空いている方の腕はバランスをとりやすいように上げる
2.片方の足を5~10cm上げ、できるだけ静止する。反対側も同様に行う。
目標:1セット左右1分ずつ 1日3セット
b“体を支える筋力”をきたえる
つまずく、倒れるといった場面で自分の体重を支える筋力があれば踏みとどまることができます。
[つかまり立ちスクワット]
(食器を洗った後などに)
1.シンクの前に立ち、縁に手をかけ1歩離れる。背筋をのばし、足は肩幅に開く。
2.ひじをのばしたままでゆっくりひざを曲げ、お尻をつきだすようにして腰を落とし、5秒静止。頭を前に倒さない。
目標:1セット10回 1日2セット
c“骨折を防ぐ柔軟力”をきたえる
関節の可動性を保てば普段とは違う姿勢になっても対応できます。また、筋肉がきちんと伸びれば安定性を保ちやすいです。
[肩入れ]
1.つま先を少し外側に向けて大きく広げて立ち、ひざを曲げて手をひざの上に当てる。ひじを伸ばし、体重をひざに乗せる
2. 片側の肩を前面内側にねじり、視線は上に向け、上半身を思い切りねじり、5秒静止。反対側も同様に行う。
目標:1セット各5回 1日2セット
(参考文献:太田博明監修『何歳からでも骨は強くなる。』『鍛えれば「骨」は今日から強くなる!』)
骨はほかの臓器のように不調を訴えることも少なく目立たない存在ですが、
その人が毎日どのような生活を送っているかが骨の状態を左右することを考えるとまさに「屋台骨」なのだと思います。
自分の骨を育てるような意識を持って毎日の食事や運動を大切にしていただければと思います。
ワークステーション静岡 T