みなさんは骨の健康に関心がおありでしょうか。
最近では地域の健康フェアなどで無料で骨密度検査ができたりするので身近なものになってきたのではないでしょうか。
骨がもろくなる「骨粗しょう症」は年配の女性のものというイメージがあるかもしれません。しかし近年では若い女性や中高年の男性にも骨粗しょう症になる人やその予備軍が増えているそうです。
見た目の若さにも影響を及ぼすという骨の健康について、2回に分けてじっくり見ていきたい思います。
①骨密度低下によるリスク
それではまず、骨がもろくなることで起こる様々なリスクを見ていきましょう。
⑴骨折・・・転倒などで手足を骨折しやすくなります。
背骨の圧迫骨折(いつの間にか骨折)、足の付け根の骨折による寝たきりなど、生活の質を低下させます。
⑵認知症や寝たきり・・・骨折により著しく運動能力が落ちます。
引きこもりがちになったり寝たきりになったり、それが引き金となって認知症にもなりやすいです。
⑶背中が丸くなる・・・極端に背中が丸くなっているのは背骨の圧迫骨折(いつの間にか骨折)によることが多いです。歩行が困難になるだけでなく、年寄りっぽく見えてしまいます。
⑷免疫力の低下・・・骨細胞は免疫システムに関わっているということもわかってきています。
⑸顔面骨の縮みによる顔のしわやたるみ・・・見た目の若さは骨次第ともいえます。
顔の骨が小さくなると、これを覆っている筋肉や皮膚が余ってしまい、たるみやしわの原因になります。
また下あごの骨が最も減りやすく、口元の周囲にしわが寄ったり口がすぼまってきます。
②骨密度検査
骨がもろくなっているという自覚がなくても骨密度検査を受けてみるのが骨折を防ぐ最善策です。
全国の6割程度の自治体では骨粗しょう症検査が無料かわずかな費用で受けられます。
【骨密度検査の種類】
・QUS法(超音波法):超音波を足のかかとの骨に当てて骨の質を評価します。(骨密度自体を測っているわけでないので、この数値が低かったら医療機関でより精密な検査を受けるのがよいでしょう)
・MD法(両手のX線撮影):手のひらをアルミ板にのせ、左手の甲の骨密度を測定します。ある程度進行した骨粗しょう症を見つけることができます。
・DXA(デキサ)法撮影:最も信頼性が高い検査で、背骨や大腿骨を通過できなかったX線の量から骨密度を測ります。
◎骨粗しょう症の診断が出たら医師の指示に従って治療を行うことが大切です。栄養や運動だけで治すことはできません。また、この段階で運動を行うのは危険なこともあります。
③骨粗しょう症が起こるわけ
「骨は新陳代謝している」ことがポイントです。
図のように骨は吸収と形成をくり返し、正常なら約5カ月で生まれ変わり、全身の骨が入れ替わるのは3年程度です。
図中①カルシウムの流出:骨のカルシウムは血液へ溶けだし、筋肉を動かしたり神経の情報伝達をするなど命に関わる働きをする。
図中②破骨細胞:運動などの刺激によって骨を壊す働きをする。破骨細胞が活性化すると骨代謝が上がる。
図中③骨芽細胞:血液中のカルシウムを利用して骨を作る働きをする。骨芽細胞が活性化すると丈夫な骨が作られる。
図中④カルシウムの吸収:食材から摂ったカルシウムは血液によって運ばれ骨に届けられる。
ここで、(骨芽細胞による)骨形成<(破骨細胞による)骨吸収 のとき、
「骨粗しょう症」になるといえます。
④骨がもろくなる原因
●紫外線不足・・・摂取したカルシウムを体内に取り込む際に必須のビタミンDを作るために紫外線が必要です。
過度なUV対策でビタミンD不足を起こすこともあります。1日15分程度日光に当たることが骨づくりに有効といわれています。
●無理なダイエット・・・女性ホルモン不足が起こり、若くても骨密度が落ちてしまいます。女性ホルモンが不足すると、骨破壊のスピードが骨形成のスピードを上回ってしまいます。
●閉経による女性ホルモン減少・・・上記と同様、女性ホルモンが減ると骨代謝のバランスがくずれ、骨がすかすかになってしまいます。
●栄養のアンバランス・・・骨の形成に必要なタンパク質・カルシウム・ビタミンなどをきちんと摂取しないと良い骨は作れません。特にカルシウムは心拍や神経伝達など生命維持に重要な成分で、不足するとまず骨が犠牲になってしまいます。
●運動不足・・・骨は作るだけでなく壊れることで作られます。体に適度な負荷や刺激が加わることが重要です。運動不足は肥満や筋力低下だけでなく骨も衰えさせるのです。
それでは次回は実践編として、骨に必要な「栄養」と「運動」について見ていきましょう。
ワークステーション静岡 T