今年の秋はラグビーワールドカップ、世界バレー、世界陸上・・・と、オリンピックを控えていることもありかなり盛り上がっているようです。
そこで先週に引き続きオリンピック特集ということで、注目の競技についてご紹介したいと思います。
ここ静岡県が会場となる「自転車競技」と、2020年東京大会からの新競技「スケートボード」について取り上げたいと思います。
○自転車競技
大きく分けて①トラック競技、②ロード競技、③マウンテンバイク、④BMXの4種目があり、使用される自転車の形もそれぞれ違います。(たとえばトラック競技用の自転車にはブレーキや変速機がありません)
また①と②は第1回アテネ大会から現在まで途切れなく実施されている数少ない競技の1つです。
①トラック競技・・・すり鉢のような傾斜がついたトラックを周回して速さやポイントを競います。
伊豆の会場で開催されます。
②ロード競技・・・一般の道路で決められた距離を走り、速さを競います。
東京武蔵野から富士山麓までのコースが予定されています。
③マウンテンバイク・・・未舗装の起伏のあるコースを走り速さを競います。
伊豆のコースで開催されます。
④BMX・・・2008年大会から加わった競技で、人工的に作られた変化にとんだコースを走り、速さや技術を競います。
東京の会場で行われます。
それでは各競技の見どころを見ていきましょう。
①トラック競技
a.スプリント
図のようなトラック3周を走りゴールの着順で順位が決まります。
見どころ:トラックの傾斜を利用したスパートは迫力があり、かけひきからスパートして勝負がつくラストが見どころです。
b.チームスプリント
男子は3人、女子は2人がチームとなり、レースでは2チームがトラックの反対側からスタートします。男子は3周、女子は2周し、1周ごとに先頭の1人が外れ、最終の周は1人だけが走りフィニッシュのタイムで競います。
見どころ:後ろで体力を温存した選手のスパートで、1人では出せないようなタイムがたたき出されます。
c.ケイリン
日本で行われている「競輪」がもとになっていますが、細かなルールは違います。
3~7人の選手がいっせいにスタートします。
d.オムニアム
1人が1日に4種類のレースを走り、合計ポイントを競います。
e.チームパシュート
4人1組のチームで400mのタイムを競います。全員で良いタイムを目指すため先頭を交代しながら走ります。
f.マディソン
2人1組のペアでレース中に交代しながらどちらか1人が走ります。レースはトラックの下段で行われ、上部は休憩の場所になり、上部の選手はゆっくり走りながら待機します。
交代は何度でも好きなときにできますが、スムーズに行うことがポイントです。
見どころ:高速で走る選手が走り始める仲間の選手と手をつないでひっぱり、自分のスピードを与えて加速する「ハンドスリング」は見どころです。
②ロード競技
a.ロードレース
選手全員がいっせいにスタートして一般道を走ります。
男子は200km以上を5~6時間台、女子は100km以上を3~4時間台で走ります。
レース時間が長いため、レース中に食事をしたり、自転車を降りたりしても失格になりません。
見どころ:個人の順位を争いますが、1つの国から何人もの選手が出場してチームを組み、1人のエースをサポートするチームプレーです。
b.タイムトライアルロードレース
ゲートを1人ずつ抜けてスタートし、ゴールまでのタイムを競います。
男子は50km前後、女子は30km前後の距離で一般道を走ります。
順位は着順ではなくタイムで決まるので、ハイペースで走り続けなくてはなりません。
見どころ:空気抵抗をすべて自分で引き受け、暑さや湿度などの気候と自分の体力を計算しながら余力を残さず最後まで走りきる冷静さが勝負となります。
③マウンテンバイク
a.クロスカントリー
選手全員がいっせいにスタートし、4~6kmのコースを何周も走り着順を競います。
コースは岩場や急斜面、板がわたされてジャンプする仕掛けなどがあり、運転技術とともに、体力・持久力が試されます。レース途中で決められた基準タイムを超える遅れとなった選手は周回ごとに脱落するため、選手の数は減っていきます。
④BMX(バイシクルモトクロス)
モーターサイクル(オートバイ)で行うモトクロスを自転車で行う競技です。
a.レーシング
BMXトラック(左図)という専用の300~400mのコースを地上8mの高さのゲートからいっせいにスタートしてかけおり着順を競います。
見どころ:ジャンプの技術が速さにつながります。着地の衝撃や急斜面に耐える選手たちの足は陸上の短距離選手のように太くて大きいそうです。
b.フリースタイル・パーク
2020年東京大会から行われる種目です。
自転車競技のうちで唯一「採点」で順位をつける種目です。
様々なジャンプ台のあるパークを使って、ジャンプやトリック(空中技・回転など)を行い、技の難しさやオリジナリティを競って演技を見せます。
見どころ:ハンドルやペダルから体を離して空中でポーズを決めたり、自転車に乗ったままアクロバティックな宙返りを見せたりします。
○スケートボード
2020年東京大会新競技です。「ストリート」と「パーク」の2種目が行われます。
スケードボードは1940年代にアメリカのカリフォルニアで木の板に鉄の車輪をつけてすべった遊びが始まりとされています。若者たちの遊びから生まれた競技なので「かっこいい」ことが重視されます。
【知っているとかっこいいスケートボード用語】
デッキ・・・スケートボードの板
トラック・・・スケードボードの裏の車輪をとりつける金属部分
ウィール・・・スケートボードの車輪
トリック・・・スケートボードを使って出す技のこと
セクション・・・競技場内に置いてある構造物のこと
【セクションの種類】
バンク・・・斜面になっている部分
レール・・・平均台のようなセクション
ハンドレール・・・バンクについている手すり
カーブボックス・・・箱型になっているセクション
①ストリート
街にあるような階段や手すり、縁石やベンチ、壁や坂道を模したセクションが設置された競技場内を自由に使い、さまざまなトリックをくりだします。
障害物を跳びこえる「オーリー系」トリックと、
レールなどをデッキですべる「スライド系」トリックとがあり、これらを組み合わせて演技を行います。
トリックの難易度、高さ、スピード、オリジナリティ、トリックの数や成功率などに加え、全体の流れなど総合的に採点されます。
見どころ:約1分の競技を1人につき2本行いますが、2本目のトリックは逆転をねらって大技を出す選手も多いので注目です。
②パーク
大きなお椀やお皿を組み合わせたような複雑なかたちの競技場を自由に使い、さまざまなトリックをくりだします。板ごとジャンプするオーリー系トリックが中心で、トリックのスピード、高さ、難易度、ダイナミックさが採点されます。
見どころ:「ストリート」と同様、2本目の競技にも注目です。
☆なくなってしまった競技
1900年パリ大会では1組3人で「つな引き」が行われ、
1936年ベルリン大会までは「ポロ」(馬に乗ったままマレットで球を打つホッケーのような競技)も行われていたそうです。(ポロは今でも世界選手権が開かれています)
助走をつけずにその場で跳躍する「立ち高跳び」「立ち幅跳び」などユニークな競技もありました。
(参考文献:日本オリンピック・アカデミー監修『オリンピック・パラリンピック全競技①』)
調べてみると意外と知らないおもしろい競技が他にもありそうです。
自転車競技の種目の多さにはびっくりしましたが、東京~静岡間のロードレースは今から楽しみです。
ルールなどの前知識を少し入れておくと、2020年東京大会がより楽しめるのではないでしょうか。
ワークステーション静岡 T