子どもから大人まで「なんとなくやる気が出ない」「生活にハリがない」と感じている人の多い現代社会ですが、やる気をもって生き生きと生活できれば毎日が楽しいはずです。
今回はそんな「やる気」の仕組みとやる気を出す方法について考えてみたいと思います。
○やる気の仕組み
まずはやる気の仕組み(性質)を見ていきましょう。
①セロトニンとドーパミン
神経伝達物質(神経細胞間の情報伝達を行う物質)であるセロトニンやドーパミンは「やる気」と関係のある物質です。
●セロトニン・・・不安や暗い気分に効く物質です。
薬の力を借りずにセロトニンを活性化するためには「食事・睡眠・運動」が有効です。
食事はタンパク質の多いもの、運動は早歩きのウォーキング・ジョギング・自転車のツーリングなどの「リズム運動」が効果的です。
●ドーパミン・・・意欲ややる気に作用する物質です。
乗り気ではなかったけれどやるべきことを済ませている、という達成感が脳の報酬系(※)をさらに刺激して、もっと頑張ろうというきもちにさせてくれることを「作業興奮」といいます。この作業興奮でドーパミンは活性化されます。つまり、やる気が起きなくてもとにかくやり始めるのが大切ということです。
※脳の報酬系;何かをやりとげて報酬を得られるとわかると活発になる部分のこと。
②モチベーションは「ごほうび」で高められる
自分をきちんと評価する行為は、やる気を高める上で重要な働きをします。
●物質的なごほうび・・・買い物や旅行など、できるだけ具体的に設定することが大切です。
●承認欲求を満たされる(他者からほめられる)・・・モチベーションに大きな影響を与えますが、自分でコントロールの及ばないことであると自覚することが大切です。
③「体を動かす」とやる気も動き出す
脳の意欲的なきもちを司る大脳基底核の「淡蒼球」という部分を活発化させるのが「運動すること」なので、身体を動かすことを習慣にすると良いです。
④ワーキングメモリーとやる気
ワーキングメモリーとは同時にいくつもの情報処理を行うときに機能するシステムで、これを正常に保つことはやる気をすぐ出すためのメンテナンス作業といえます。
あれこれ一度にやりすぎないこと、十分な睡眠をとることが、ワーキングメモリーを良い状態に保つ方法です。
⑤「希望を持つ」こと
やる気さえ出してがむしゃらに頑張っても評価されず、希望と行動がかつてほどリンクしていない時代ですが、やる気に不可欠なのは「希望を持つ」ことだそうです。
他人に評価されるような大きな希望でなくても、自分が生きていく上で必要なもの、好きなことなど自分サイズの希望を持ち、それを実現するためにできることを探して少しずつやる気を上げていくことが大切です。
○やる気を出す具体的な方法
それでは次に、目の前の仕事に取り組む「やる気」を取り戻す方法をご紹介します。
①好きな仕事から始める
目の前にたくさん仕事があるとき、最も大事な部分からやるのが王道ですが、
やる気が下がっているときは好きな作業から始めて、仕事を継続していく方がいい結果につながります。
また、ワーキングメモリーがパンクしてやる気を失った場合は、
まず仕事を細かく作業ごとに分類し、優先順位をつけ、「今すぐにやらなければいけないのはこれだけだ」と腹をくくって取り組むと、落ち着きとやる気が戻ってきます。
②100%を目指さず80%を目指す
仕事の悩みや不安をいったん脇に置いて、ほんの少しの間でも別のことを考える余裕をもちましょう。
考えるのも行動もやりすぎないように80%程度で抑える訓練をしましょう。
③あえて自分にプレッシャーを与える
●設定時間内に終わらせるという目標を立てる
●やるべきことに少しだけ手を付けておくようにする
→「こんなところでやめてしまっていいんだろうか」「このまま放っておいて、間に合うのかなあ」という不安を解消するために仕事を片づける意欲がわいてきます
○やる気を育てる習慣
日頃からやる気を失わないためにできることをまとめてみます。
①たった5分のクィック瞑想
静かなところに座り、周囲の物や人を何となく眺め、ボーっとしながら何も考えずに心を空っぽにします。
②ウォーキング・ジョギング・ツーリングなどの「リズム運動」を始める
セロトニンの働きが高まり、不安や抑うつがやわらぐだけでなく、やる気も出てきます。
③「区切り」を意識する
やる気を継続させるには環境を変えることも重要です。
自分で短期目標やキャリアプランを立てて、それに向かって行動していると意識することが大切です。
④自分のリズムを知る
人間にはその人なりのリズムがあるので、自分のリズムを大切にしてやる気が上がってくる時間帯を有効に使うように心がけます。
⑤朝の光を浴びてセロトニンを活性化
朝の光はやる気をみなぎらせる効果だけでなく、不安な気分を鎮め気分を安定させ、夜の睡眠を深くしてくれます。
⑥睡眠はやる気の充電時間
自分自身が「よく寝たな」と感じられるだけの睡眠時間の確保が大切です。
15~20分の昼寝も効果的です。
またこれと関連して、休日はたくさん眠ればいいというわけではありません。
個人差やスケジュールにもよりますが、振り返って「いい休日を過ごせた」と思えれば、活動度に関わらず休養の効果があるといわれています。
(参考文献:西多昌規著『めんどくさくて、「なんだかやる気が出ない」がなくなる本』)
やる気を保つにはとにかく脳が健康な状態にあることが必須です。
つまり「食事・運動・睡眠」が基本ということです。
当たり前ですが全ての健康に通じる3本柱を整えて、軽やかに行動できる生き生きとした毎日をお過ごしください。
ワークステーション静岡 T