梅雨時気になることのひとつに「食中毒」が挙げられると思います。
食中毒は1年を通して起こりますが、夏は「細菌」による食中毒が多いようです。
まず代表的な菌と症状が現れるまでの時間を見てみましょう。
・カンピロバクター・・・肉類についている菌で食中毒の原因菌として最も多い。
生で食べたり加熱が不十分であると食中毒を起こす。
発症は2~5日後
・黄色ブドウ球菌・・・人の皮膚に住んでいる菌で通常は無害。
手洗いが不十分であったり、傷のある手でおにぎりをにぎったりすると食中毒を起こす。
発症は約3時間後
・ウェルシュ菌・・・主に肉についていて加熱に強く酸素に弱い。
カレーやシチューなどの作り置きに増殖する。
発症は6~18時間後
・腸管出血性大腸菌(O-157など)・・・肉類や汚染された水などにいる。
発症は3~5日後
食中毒による腹痛・下痢・嘔吐・発熱などの症状が起こった時は安静にし、食事を控えて腸を休めることが大切です。
×下痢止め(下痢・嘔吐は体に害となる物質を排除する反応です)
○こまめな水分補給(脱水症状を防ぎます)
次に、食中毒予防の方法を買い物から食事まで具体的に見ていきますが、その前に「3つの原則」をおさえておきましょう。
「付けない」・・・手、調理器具、食材をよく洗うなど
「増やさない」・・・10℃以下で細菌の増殖を抑えられます
「やっつける」・・・75℃・1分間以上の加熱で細菌を死滅させます
この3原則を念頭に置いて、①買い物~⑥食べ残した料理まで、すぐに実践できる予防法をご紹介します。
①買い物
・生鮮食材の鮮度、加工食品の消費期限を確認しましょう【増やさない】
・肉や魚はドリップ(肉汁や魚の体液)がほかの食材を汚染するので、包装を二重にしてドリップを防ぎます【付けない】
・帰宅に時間がかかるときは保冷剤や保冷バッグを活用します【増やさない】
②食品の保存
・買ってきた食材はすぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れます【増やさない】
・肉や魚は冷蔵庫の下段に置きドリップがもれていないか確認します【付けない】
③下準備
・準備の前と終了後の手洗いを必ず行います【付けない】
・包丁やまな板は肉・魚用と野菜用に区別し、使用後は80℃以上の熱湯をかけて殺菌します【付けない・やっつける】
・野菜は根を切り流水でよく洗います。またカットされた肉や魚は台所のシンクで洗わないようにします(洗うときは水はねを起こさないように注意)【付けない】
・冷凍した肉や魚の解凍は冷蔵庫または電子レンジで行います【増やさない】
・使用した布巾などは洗浄後、煮沸・殺菌します【やっつける】
④調理
・調理前・調理後、ハンドソープで手を洗います【付けない】
・加熱する料理は中心部が75℃・1分以上加熱します
(赤身の肉は中心が褐色になるまで、レンジでの肉料理はときどき混ぜるなど)【やっつける】
・生野菜と肉・魚料理がある場合は、生野菜を先に調理します【付けない】
・調理用と食事用の箸などは区別し、食べるときの箸で加熱前の食品に触れないようにしましょう【付けない】
☆「冷蔵庫の取っ手」や「水道の蛇口(レバー)」は意外と見落とされがちな雑菌ポイントです。
こまめに清掃したり、調理中に触れるときは注意しましょう。
⑤食事
・食事の前は必ず手を洗います【付けない】
・料理はできてから2時間以内に食べ、すぐに食べないときは冷蔵庫にいれましょう。
生卵を用いた料理は絶対に保管しないようにしましょう【増やさない】
・盛りつけにはきれいな調理器具と食器を使いましょう【付けない】
⑥食べ残した料理
・食べ残しは清潔な容器に移し冷蔵保管し、次に食べるときは十分加熱します【増やさない・やっつける】
・カレーなどは常温に放置せず冷蔵庫へ入れます。次に食べるときは沸騰してから15分加熱します【増やさない・やっつける】
・白飯はラップに包んで凍結保存します【増やさない】
・冷蔵庫に長期保存した料理はもったいないと思わず思い切って捨てます
・食器などは長時間浸け置きしないようにしましょう【増やさない】
(参考文献:伊藤武・西島基弘著『絵でわかる食中毒の知識』/ きょうの健康 2018年7月号「食中毒」)
毎日なんとなくやっていたことが、実は食中毒予防になっていたり、良くないことだったり、新たな発見があった方もいるのではないかと思います。
ちょっと意識するだけで食中毒は防げることも多いです。
食欲の落ちる時期かもしれませんが、このようなことに少し気をつけながら、安心で健康な食生活を送っていただければうれしいです。
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