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新元号に親しむ

いよいよ元号が改まり、新しい時代が始まりました。

新しい元号の背景をご紹介しつつ、来たる時代に希望や決意を新たにしていただけたらと思います。

これは「令和」の篆書体(てんしょたい)です。

「令」は「清く美しい」、「和」は「かどだたない」という意味をもち、個人的には美しい月を連想しました。

英語では「Beautiful  Hermony」、「美しい調和」と紹介されています。

 

それでは元号の典拠となった万葉集と、引用部分の作者といわれている大伴旅人という人物について見ていきましょう。

 

万葉集は飛鳥時代から奈良時代までの百三十年間の歌、およそ4500首が収められた日本最古の歌集です。

雑歌(儀礼、行幸、旅、宴会など)、相聞(恋愛や友情)、挽歌(葬送、哀悼)など広いジャンルの歌が収められており、当時の人々の気持ちや生活が感じ取れる貴重な歌集です。

原文を声に出して読み万葉ことばの響きを楽しんだり、歌に描かれた土地を訪ねる旅を楽しむ人も増えているそうです。

 

典拠引用部分の作者といわれている大伴旅人は、風流でしみじみとした気持ちになるような歌を多く残した奈良時代の歌人で、多くの作品は60歳近い晩年に作られました。

当時「遠(とお)の朝廷(みかど)」とも歌われた大宰府の長官として赴任した旅人は、そこで多くの歌を作りました。

旅人は、万葉集編纂に深く関わった大伴家持の父であり、貧窮問答歌で有名な山上憶良の友人であり、上司でした。

「令和」の文字が出てくる文章は、旅人が開いた宴席において「見事に咲いた梅の花を詠みましょう」と列席の人々に呼びかけるものの一部です。

『時に初春の月にして、気は淑(よ)くして風ぐ。

梅は鏡前の粉を披(ひら)き、蘭は珮(はい)後の香を薫らす。』

(時は初春の正月で、あたりの気配は清々しく風は和らいでいる。

梅は鏡の前の白粉を思わせて咲き、蘭は匂い袋の香のように薫っている。)

 

この宴席で旅人が詠んだ歌がこれです。

『我が園に梅の花散る久方の天より雪の流れ来るかも  主人』

(私のこの園に梅の花が散っている、それとも空から雪が降ってくるのかしら)

 

旅人の人柄を知ることができる歌をいくつかご紹介します。

 

『験(しるし)なき物思はずに一杯(ひとつき)のにごれる酒を飲むべくあるらし』

(考えても仕方のないことをくよくよと考えているくらいなら一杯のにごり酒でも飲んでいる方がましというものだよ)

 

旅人はお酒を愛した歌人としても有名です。

「酒を讃(ほ)むる歌十三首」というものも残っています。

 

『沫雪(あわゆき)のほどろほどろに降り敷けば平城(なら)の京(みやこ)し思ほゆるかも』

(淡雪がところどころに降り続くと平城の京が思われることよ)

 

筑紫の地で詠んだ歌です。九州は暖かいため雪がまだらにしか降らず、そのたびに都の奈良の地に降る雪が思い出されるなあという歌です。

 

これらの歌を読んでいると、武門の人でありながら、新しい時代の教養にみちた詩心のある親しみやすい歌を詠む人物だったということがうかがえます。

(参考文献:根本浩著『ジュニアのための万葉集③平城の京』 中西進編『大伴旅人 人と作品』)

 

新元号の背景にある万葉の歌の世界、いかがだったでしょうか。

「令和」という元号を使うとき、新しい時代を見つめつつも自然や周囲の人々を慈しみ素直に表現していた大伴旅人のことを時々思い出してみてください。

私たちそれぞれが新しい時代に良いイメージを描いて、希望をもって生きていけたらよいなと思います。

 

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