おばあちゃんが漬けるもの、というイメージのあるぬか漬けですが、
今若い人たちの間でも“マイぬか床”をつくってぬか漬けを楽しむことが人気だそうです。
ぬか漬けの健康効果が注目されていますが、他の理由もあるようです。
ぬか床をつくる微生物たちは人の心と共鳴するといわれていて、ペットを育てるようなきもちでぬか床を育てている人もいるようです。
ぬか漬けの歴史をひも解くと、鎌倉時代末期にはそれらしきものが文献に登場し、
江戸時代にははっきり「ぬか漬け」として定着していたようです。
それではぬか漬けの世界をご紹介していきましょう。
〈マイぬか床づくり〉
材料は生ぬか・塩・水・昆布(うま味を足す)・唐辛子(防腐・脂肪の酸化防止)・熟成ぬか(手に入れば。発酵が速くなる)。
これらをよく混ぜ合わせて保存容器に詰めます。
次に、毎日ぬか床をかき混ぜて「捨て漬け」をくり返しぬか床を熟成させます。(10日~2週間)
「捨て漬け」は、いらない野菜を漬けながら微生物の活動を活発にして発酵・熟成を促すのが目的です。
こうしてぬか床が完成したら、本漬けを始めます。
〈ぬか漬けの発酵のしくみ〉
そもそも「発酵」とは何でしょうか。
微生物が原料(食材)に付着し、その成分を栄養源として代謝するとき、原料にはなかった風味成分や栄養素が生まれることで、人間にとって有益なものができれば「発酵」、そうでないときは「腐敗」と呼ばれます。
それではぬか床の発酵プロセスを見ていきましょう。
ぬか床に入れた野菜から水分とともに栄養素がぬか床に染み出します。
野菜から出た栄養素をエサに乳酸菌が繁殖。
うま味のもととなるアミノ酸や乳酸、風味成分をつくりだします。
アミノ酸や乳酸、ぬかがもともと持つビタミンB1などの成分が野菜に染み込み、
おいしいぬか漬けが完成します。
ぬか床のかき混ぜが足りないと、乳酸菌と同じように塩や酸に強いカビが生えてしまったりするので、ぬか床は毎日の手入れが大切だということです。
〈ぬか漬けの健康効果〉
①腸内環境の改善
ポイントはぬか床で活躍する「植物性乳酸菌」です。
植物性乳酸菌はぬか床の塩分や胃酸に対しても抵抗性が強いため、生きたまま腸に届きます。
そして腸を弱酸性にして、人間にとって良い作用をもたらす「善玉菌」が増える環境を整えてくれるのです。
また、植物性乳酸菌は腸のぜん動運動を活発にし便秘も解消してくれます。
②ビタミンB1による疲労回復、食欲増進・消化促進効果
ポイントは「ぬか」です。
ぬかは玄米を精米するときに出る表皮や胚芽の部分で、お米の栄養素の約95%が含まれます。
米ぬかに多く含まれるビタミンB1は疲労回復効果のある栄養素ですが水溶性で加熱に弱く、摂取が難しいのです。ぬか漬けを毎日食べると上手に補給できるというわけです。
③ビタミンCで美肌効果や免疫力UP
ビタミンCは水溶性で加熱に弱いので生の野菜などから摂取するのが良いのですが、ぬか漬けの方が手軽に多く摂取できます。
④酵素の力で老化防止効果
酵素は呼吸や消化吸収など私たちのあらゆる生命活動に関与する物質ですが、やはり熱に弱く、上手に摂取するのにぬか漬けは最適です。
最後にぬか漬けにオススメの野菜をご紹介します。
柔らかくてジューシーなかぶ。
夏のぬか漬けの代表、きゅうり。
青菜の中でも特にぬか漬け向きの小松菜。
想像以上にぬか漬けによく合うパプリカ。
(参考文献:山田奈美著『ぬか漬けの基本 はじめる、続ける。』)
このように魅力的なぬか漬け、食べるだけじゃもったいないような気がします。
手軽なぬか漬けキットも販売されているようですし、
植物を育てるようにマイぬか床を育てて、おいしいぬか漬けを手作りして楽しんでみてはいかがでしょうか。
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