寒くなると甘いものが恋しくなります。
冷えて疲れた身体には一口の甘いものが活力を取り戻してくれます。
どらやき、もなか、ようかん・・・みなさんは何がお好みですか。
今回は奥が深い和菓子のお話です。
奈良時代、砂糖は薬の目録「種々薬帖」に記され、薬として扱われていました。
「口にすると疲れがとれてシャキッとし、元気を蘇らせる」と認識されていたのでしょう。
上流階級の人たちだけのものだった砂糖を使った和菓子は茶道とともに発展し、やがて人々の間にも広まってゆきました。
和菓子の原材料は砂糖、お米の粉、小豆など自然のものばかり、
そして和菓子職人は日本の四季折々のうつり変わりや花鳥風月をモチーフとして和菓子を創作します。
そんな和菓子は、今では「ユニークなのにナチュラルな甘み」の日本のお菓子として世界に誇れる食文化として評価されています。
和菓子屋さんに並ぶお菓子は色とりどりで目移りしてしまいますが、大きく分けて2種類あるということをご存知ですか。
ひとつは季節の訪れとともにつくられる和菓子―年中行事との結びつきが強く、健康や家族の幸せを願う意味が込められたものです。
お正月の花びら餅や端午の節句の柏餅などです。
もうひとつは「ねりきり」や「こなし」などの餡の加工品を用いて形や色で季節を表現するものです。
職人の個性やつけられた菓銘を楽しむことができます。
和菓子はその栄養的な面においても注目されています。
特に主原料の小豆は栄養価が高く、
良質のたんぱく質、豊富なビタミンB群とミネラル、赤ワインよりも豊富なポリフェノールを含みます。
小豆を用いた和菓子は体のさびを防ぎ、生活習慣病の予防に役立つ優れた機能性食品といえるそうです。
また、美味しいという満足の他に、和菓子の菓銘について会話が弾んだり、旅先で由来となった場所を訪れて歴史を感じたり、食べること以外の愉しみもあり、安らぎや団らんにつながることから「心の栄養」になるともいえそうです。
(参考文献:広田千悦子著『福を呼び込む 和のならわし』・和食文化国民会議監修『和菓子と日本茶』)
甘いものが欲しくなったとき、時々和菓子屋さんをのぞいてみてください、
一個の和菓子を味わいながら、心満たされるゆたかな時間を過ごせるかもしれません。
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